詰め物や被せ物、インプラントといった歯科の装置は、お口というデリケートな場所に数年から数十年、場合によっては一生涯、装着し続けるため、体への安全性が気になります。
とりわけインプラントは口腔(お口の中)にとどまらず、体内に金属製の人工歯根を埋め込む治療となることから、金属アレルギーが心配な方が多いかと思います。
一般的にはインプラント治療に用いられる「チタン」は、金属アレルギーが起こりにくいと言われていますが果たして本当なのでしょうか。また、人工歯に用いられるジルコニアやセラミックの特徴などもあわせてわかりやすく解説をします。
目次
■そもそも「チタン」とは?
チタン(Titanium)は、れっきとした金属の一種であり、見た目も一般的な金属と同様、銀灰色を呈しています。おそらく皆様もチタン製の製品を使用したり、チタンで作られた乗り物に乗った経験があるかと思います。
もっとも身近な例を挙げると、腕時計やメガネのフレーム、ゴルフのドライバーなどにチタンが使われています。少し範囲を広げると、医療機器ではペースメーカーや人工関節、乗り物では自動車のフレームや航空機の機体・エンジンなどにチタンが活用されています。
つまり、私たちが日常的に使ったり、利用したりするものの多くには、チタンが何らかの形で使われているのです。
■「チタン」の特徴について
インプラント治療にも活用されるチタンには、次のような特徴があります。
◎金属なのに軽い
チタンは、軽い金属として有名です。金属の代名詞ともいえる「鉄」と比較した場合、チタンは60%程度の重さしかありません。つまり、一般的な金属より比重が軽いのです。この特徴は、重力に逆らって空を飛ぶ飛行機はもちろん、体の中に埋め込むペースメーカーや人工関節、インプラントにも有利に働きます。
◎強度が高い
チタンは軽いのですが、強度は高いです。その他の金属と同じく、簡単に壊れることはありません。
◎腐食しにくい
金属は、時間の経過とともに腐食されていきます。とりわけ鉄は腐食性が高く、環境によっては短期間で錆びてしまいます。
そうした金属を体の中に入れることはとても危険ですが、チタンは耐食性が高く、多くの場合で治療から数年経っても腐食することなく機能していきます。これも体の中に埋め込む装置が備えるべき性質として重要です。
◎金属アレルギーが起こりにくい
チタンは、生体親和性が高いという特徴も有しています。体の中に埋め込んでも拒絶反応やアレルギーが起こりにくいため、インプラント治療には適切な素材です。
ただし、チタンは金属アレルギーが100%起こらないわけではなく、ごく稀にではありますがチタンアレルギーを発症することもあります。
■「チタン」特有の性質について
ここまでは、チタンの一般的な特徴について解説してきましたが、この金属にはもうひとつ重要な性質が備わっています。それは顎の骨としっかりと結合する性質です。
専門的には「オッセオインテグレーション」と呼ばれる現象で、インプラント治療のかなめとなります。
例えば、チタンと同様に生体親和性が高く、腐食しにくい金(ゴールド)も人工歯根の材料として使えそうな気がするかもしれませんが、残念ながら金には骨と結合する性質がありません。
金で作られた人工歯根を顎の骨に埋め込んでも、咀嚼機能を回復させることは難しいです。ちなみに、インプラント治療で用いられるのは純チタンかチタン合金です。
■人工歯に使われるジルコニアやセラミックの特徴
標準的なインプラント治療では、人工歯根とアバットメントにチタンが使われて、人工歯にあたる上部構造は、ジルコニアやセラミックで構成されていることが多いです。どちらも金属ではなく、セラミックに分類される素材なので、当然ですが金属アレルギーを起こすリスクはありません。
とりわけジルコニアは金属に匹敵する硬さを備えており、生体親和性も高いことから、チタンアレルギーを持っている患者様にはジルコニアインプラントが推奨される場合もあります。
ジルコニアインプラントでは、アバットメントもジルコニアで作製するため、審美性が極めて高くなります。同時に、金属アレルギーのリスクをゼロにできるのです。
■まとめ
今回は、金属なのに金属アレルギーが起こりにくい「チタン」の特徴をインプラント治療と関連させながら解説しました。
チタンは生体親和性が高く、金属アレルギーのリスクが低いことに加え、顎の骨と結合する性質があることから、人工歯根の材料として使われています。チタンは耐食性も高く、インプラント治療から数十年経過しても、腐食することはほとんどありません。
インプラント治療に興味のある方は、いつでもお気軽に名古屋市中村区の名駅ファイン歯科・矯正歯科までご相談ください。