
「歯がすべてない状態」と聞くと、多くの方が入れ歯を思い浮かべるのではないでしょうか。実際には、歯をすべて失った状態には専門的な名称があり、治療方法も入れ歯だけに限られません。
近年では、噛む力や安定性を高めるインプラント治療の選択肢も広がっています。
本コラムでは、無歯顎とは何かという基本から、原因や注意点、さらに入れ歯・インプラントオーバーデンチャー・オールオン4といった治療方法まで、名古屋市中村区の名駅ファイン歯科・矯正歯科の歯科医師の立場から、患者様にわかりやすく解説します。
■無歯顎とは?
◎無歯顎の読み方と定義
無歯顎は「むしがく」と読みます。上下いずれか、あるいは上下ともに歯が1本も残っていない状態を指す歯科用語です。
一時的に歯が抜けている状態ではなく、永久歯がすべて失われていることが特徴です。歯がないことで噛む・話す・飲み込むといった基本的な口腔機能に大きな影響がでやすいです。
◎無歯顎になる主な原因
無歯顎に至る原因として多いのが、重度の歯周病です。歯周病が進行すると、歯を支える顎の骨が徐々に溶け、最終的に歯が自然に抜け落ちたり、抜歯が必要になったりします。
また、むし歯を長期間放置した結果、歯を保存できなくなるケースもあります。さらに、外傷や全身疾患、過去の治療環境などが複合的に影響することも少なくありません。
◎無歯顎が口腔や全身に与える影響
歯がない状態が続くと、やわらかい食事を好むようになることで食事内容が偏りやすくなり、栄養バランスの乱れにつながることがあります。
また、顎の骨は噛む刺激がなくなることで徐々に痩せていき、口元がくぼんだ印象になることもあります。発音が不明瞭になる、会話に自信が持てなくなるなど、生活の質にも影響が出てしまう点も注意が必要です。
■無歯顎の治療選択肢は?
無歯顎の治療は、患者様のお口の状態やご希望、全身状態を考慮したうえで選択します。ここでは代表的な3つの方法を解説します。
◎入れ歯(総入れ歯)
総入れ歯は、歯ぐきの上に装着する取り外し式の装置です。保険診療で作製できる点が大きな特徴で、比較的短期間で治療が完了します。
一方で、噛む力が天然歯に比べて弱く、食事中にずれたり外れたりする違和感を覚える方もいらっしゃいます。定期的な調整や歯ぐきのケア、丁寧な歯みがき(義歯清掃)が重要になります。
◎インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントを顎の骨に埋入し、その上に入れ歯を固定する治療です。インプラントが「留め具」の役割を果たすため、通常の入れ歯より安定し、噛む力も向上しやすくなります。
取り外しは可能なので清掃性も保ちやすい一方、自費診療となり、外科的処置が必要になる点は理解しておく必要があります。
◎オールオン4
オールオン4は、片顎につき原則4本のインプラントを用いて、すべての歯を支える治療方法です。奥のインプラントを斜めに埋入(インプラントを斜めに入れる方法)することで、骨の量が限られている場合でも対応できる可能性があります。
固定式の歯が入るため、噛み心地や見た目が自然に近い点がメリットです。ただし、外科手術を伴う自費診療であり、事前の精密検査と十分な説明が欠かせません。
■まとめ
無歯顎とは、永久歯がすべて失われた状態を指し、読み方は「むしがく」です。
原因には歯周病やむし歯などがあり、放置すると食事や発音、顎の骨の状態にも影響することがあります。治療方法は入れ歯だけでなく、インプラントオーバーデンチャーやオールオン4といった選択肢もあります。
それぞれに特徴があるため、患者様一人ひとりのお口の状態や生活背景に合わせた治療選択が重要です。無歯顎の治療をご検討の際は、歯科医師に相談し、十分に理解したうえで進めましょう。

